過払い金を取り戻そうと考えた場合、貸金業者から取引履歴が開示される前に、過払金が発生しているかどうか、またどれくらいの過払金額が発生しているのかを判断するには、債務者がよほど過去の資料を大切に保管していない限り、あくまで、実例をもとに予想するしかありません。
ただし、貸金業者と利息制限法の法定利率を超える約定金利で取引を行い、完済(残高0円)した場合は、金額はともかく過払金が発生していることは確実です。
過去の実例では、利息制限法を超え出資法の上限金利の範囲で貸付けをしていた貸金業者との継続的取引が5年以上であれば、残債務が0に接近しており、7〜8年で残債務が0か、過払金が10万円から30万円くらい、10年を超えると過払金が50万円以上という場合が多かったようです。
しかし、出資法改正により、上限金利が徐々に引き下げられているので、今後過払金が発生するまでの期間は延びることが予想されます。
司法書士・弁護士に依頼して過払金を回収する場合、その回収手続は以下のようになります。

貸金業者から、過払金の返還をうける方法として、必ずしも訴訟をする必要はなく、訴訟外の和解をする方法もあります。
しかし、貸金業者は、任意の交渉に対しては、大抵過払金の返還金額を少しでも減額しようとします。中には、一部しか取引履歴を開示しなかったりする業者もあります。
他の残債務への支払いに充てるなどのために早期回収・解決を目指す場合は、有効な方法ですが、満額の回収は難しいのが実情です。
過払金の返還交渉が合意に至らない場合は、訴額に応じて簡易裁判所又は地方裁判所に訴訟を提起します。
多額の過払金が見込まれる長い取引の場合、貸金業者の中には一部しか取引履歴を開示しない業者もあります。この場合、債務者の記憶や資料(銀行口座の取引明細など)に従い取引を再現する「推定計算」をしたり、貸金業者が開示してきた履歴の最初の残額を無視して、頭0円から始まる計算をしたりします。
訴訟を提起した場合、その後の展開は、事情によって異なりますが、判決まで争うケースは限られており、訴訟手続の中で和解したり、訴訟提起後、訴訟外の話し合いで和解したりするケースが大半を占めます。
和解や判決の後、過払い金の返還を受けて、過払い金の回収手続は終了となります。
簡単に言うと、本来支払う義務がないのに、貸金業者に利息を過剰に支払った結果、返済し過ぎたお金を「過払い金」といい、この「過払い金」を返還請求できるというわけです。
そもそも、このような過払金の返還が問題となるのは、利息制限法という規定がある一方で、出資法という法律があるからです。
利息制限法は、利息の範囲を定めた法律なので、罰則規定がありません。出資法の定める上限金利は、利息制限法の法定利率より高く規定されてきました。そして、約定利息が出資法の定める上限金利(29.2%)を超過した場合のみ、刑事罰が科されています。利息制限法の法定利率を超えて貸し付けをしても、出資法の定める上限金利(29.2%)の範囲内であれば刑事罰は科されなかったので、貸金業者は、刑事罰を受けないことをいいことにして、違法な金利で営業してきたのです。

この民事上無効でも、出資法の範囲内であり刑事罰の対象にならない金利の範囲をグレーゾーンと呼びます。
この金利は過払金返還請求の対象になります。ただし例外的に、厳格な要件のもとに、この範囲の利率を有効とみなす貸金業規制法43条(みなし弁済規定)があり、グレーゾーン金利で過剰な貸付けをしてきた貸金業者は、利息制限法違反の営業を正当化するのに、この「みなし弁済」規定を根拠にして、超過利息の支払いを有効だと主張してきました。
平成17年から18年初めにかけて下された一連の最高裁判決は、貸金業者のみなし弁済の主張を退けました。事実上「みなし弁済規定」の適用は否定され、利息制限法の法定利率を超える利息をとることは、例外なく違法だと確認されたのです。その結果、みなし弁済の主張をして争う貸金業者はなくなり、過払い金の返還請求は、より活発に行われるようになりました。
そして、グレーゾーン金利を撤廃する貸金業法の改正の動きへと続いていったのです。